山田山庵先生は昭和63年に三十六碗を自選し壺中居で展示会を開催している。この茶碗もその時の出品作である。黒楽の釉薬の調子が面白くカサついたところ、薄く土が見えるところ、流下した幕薬があるところと様々な黒の表情が出ている。見込も単調でなく同じように釉薬の景色が楽しめる。正面の稲妻のような窯疵が印象的である。
山田山庵…
岡部嶺男先生 鉄釉盃 共箱
肌理の細かな土を用いて口造りはシャープに端反りしている。一見単調に見える鉄釉であるがマガリと言われる箆や轆轤目での凹凸の部分には鉄錆色の結晶が溜まっている。見込も同様に轆轤目が力強く、茶碗で言う茶溜まりの部分には巴のような兜巾が見られるのが特徴である。高台内に「山」のくずしの刻銘がある。共箱には鹿皮…
岡部嶺男先生 窯変米色瓷盃 共箱
ありそうでないもの、特に出会いが少ないものとして嶺男先生の窯変米色瓷盃の共箱作品が挙げられる。その希少性から茶碗と同格になることも仕方がない。米色瓷は鑑賞陶器の中でも日本人に好まれる特有の青瓷である。常盤山文庫所蔵の部分的に粉青色を呈する南宋時代の米色青磁瓶は名高い。米色瓷は青瓷の酸化焼成であ…
富本憲吉先生 色繪捻徳利 浜田庄司先生箱
巨匠作家の酒器の収集の極みの一つとして富本憲吉先生の色絵捻瓢形徳利が挙げられる。
上下それぞれが六面となっていてそれがS字状に捻れている。四辨花を思わせる風車の連続文様が赤絵と緑釉により一面ずつ交互に配されている。文様一つずつに気持ちが込められていることがこの作品に生命感を与える。作…
白磁徳利・白無地シノギ徳里
ちょろぎからの発想かと思われる白磁徳利と轆轤挽きの後にざくざくと少し硬くなった時に縦に鎬いだ白磁徳利。「ちょろぎ」は意外にも持ちやすく使いやすい。「鎬」はいつまでも鑑賞したいし李朝の棚の上にも飾りたくもなる。白磁徳利を取り上げてみてもこれ以外にも種類がある。魯山人先生の創意工夫にいつも脱帽します…
魯山人先生の湯呑で渦巻きは定番の一つですがこの作品は少し小さくて細いのが特徴です。
なかなかありそうでないものです。轆轤を回しながら太い筆でぐるっとやったのでしょうか。この勢いがとても魅力的です。
北大路魯山人先生 絵瀬戸うずまき湯呑
志埜と書いて「しの」と読みます。
この字を使う方は現代作家では鈴木藏先生がすぐに頭に浮かびますが物故作家では魯山人先生です。
ほとんどの作家さんが「志野」を使っています。どことなく「野」よりも「埜」の方が趣を感じます。
この作品は共箱であるのも魅力的ですが振りが大きくそして形が珍しい。ちょうど持ちやすいいような形が好ま…
1950年パリで開催された現代日本陶芸展ではこの作品の同手の「白地チョーク描ばら文鉢」などが評価されて宗麿先生が欧米でも知られるようになった。
二点を比較して見るとパリのものが37.0糎、こちらが35.2cmで素地はパリのものが黄成でこちらが白く、絵はパリが赤くこちらは茶色、画題はパリがバラでこちらはなんでしょうか。
どちら…
まるで鎌倉山崎の星岡窯の俯瞰図のような絵が描かれた葉形鉢です。
北大路魯山人先生 色絵葉形鉢
大藝術家
北大路魯山人展
2015年2月20日(金) ~ 3月3日(火)
※2月26日(木)・3月1日(日)はお休みを戴きます。
展示会では多種多様な小品からミュージアムピースまで幅広く見ていただきたいと思…
毎年、節分の頃になると当苑では魯山人先生の展示会のご案内状を作り始めます。
世の中に多々あるお作品の中から私どもがこれはと思うものばかりを吟味して集めながら皆様に魯山人先生の藝術をどのような形でお見せできるかを考えます。それが魅力的な展示会であるのかないのかをいつも心の中で先生に問いながら準備いたしております。
さて今回の…
岩田藤七先生 シルクロード 共箱 6.8/高14.5糎
岩田藤七先生は創作ガラスだけでなくお茶道具なども制作された。本作品はシルクロードと題して小花入である。砧状で下部分が阿古陀形になっている。種々様々な複雑な色にさらには金箔、銀箔が出ていて面白い。ラスター彩、銀化のイメージで玉虫のように耀いている。
熊倉順吉先生 金彩VOICE 熊倉綾子箱 25.0/10.0/高25.2糎
「口のあるオブジェが必ずしもボォーカルを表現しているわけではなくて肉体の音楽であるジャズそのものを表現していると考えてもらえば有り難いですが。」と熊倉順吉先生は語っている。この作品は1984年の作品で「現代陶芸のパイオニア 生命のかたち」に出展されて…
鈴木治先生 夕凪・山の人 共箱 夕凪 6.8/4.4/高8.5糎・山の人 5.3/2.8/高11.4糎
昭和62年に東京新宿伊勢丹にて「掌上泥象 百種を中心に 鈴木治陶磁展」が開催された。本作品も連作の一つである。これらは掌に乗るようなかわいい大きさであるが鈴木治先生の世界を楽しむのには充分な内容がある。仕事場の机の上に飾って…
八木一夫先生 凹壷 共箱 14.4/12.0/高16.2糎
轆轤成形で立ち上げ、お腹を凹ました後、白化粧を施し、千点文のような点文を五重に配する。中心を少しづらして飴色のガラス釉を溜めている。焼成時に寝かして焼いたところにも点文が施されているのが八木一夫先生らしいところである。花はなくとも飾りたい壺となっている。
畳付き…
前田青邨先生 風神雷神 共箱・荒川豊藏箱 風神7.8/4.6/高7.0糎・雷神8.5/5.5/高7.5糎
昭和37年に日本橋三越にて開催された前田青邨先生喜寿記念陶展では青邨先生が冬に炬燵で色々作られた香合に志野釉や黄瀬戸釉を施し、同郷の荒川豊藏先生が焼成したものが並べられた。この風神雷神もその一連の作品であと思われる。風…
山田山菴先生 赤 銘「獨楽」 ・銘「無住」 共箱 12.0/11.4高/9.0糎
本阿弥光悦の名碗「乙御前」を思わせる山田山庵の赤楽茶碗である。山庵にしては少し小振りに独服用に作ったのか本人により「獨楽」という銘を付けられている。さらには古美術から現代美術まで稀代のお目ききであった松永耳庵により「無住」という銘が付いて…
石黒 宗麿先生 白瓷小壷 共箱 5.5/高20.6糎
中国の宋時代の磁州窯の技法に倣いながらも宗麿先生らしい作品にしている。肌地の土に白化粧を施し透明釉を掛けている。陶肌からはとても優しく柔らかな印象を受ける。貫入もきめ細かい。このようなひろっととした小さな花入には野花の可愛い花を挿したくなる。
畳付きには「栩」の印銘がある…
北大路 魯山人先生 備前土灰被花入
陶々菴箱 8.7/高19.6糎
花入としては少し小さめで是非、小間の床に使いたい。土味が渋く古格がある。成形時のドベを上手く意匠にしている。全面に柔らかな鎬を入れ、畳付きには火襷をいれている。口が平たくキリっとさせて全体を引き締めている。灰が上手く掛かり良い景色になっている。底部に「ロ…
三輪休和先生 萩白釉酒盃 共箱 6.3/6.1/高5.7糎
砡のような美しい白萩釉がこの酒盃の最大の見所である。休和先生はこの釉薬を作るために無農薬の藁にこだわって生成したという。少しだけ見えている黒土の部分は見島土を用いている。あまり派手にならないようにしているのがいかにも休和先生らしい。見込みには火間があり土肌が見えて…