北大路魯山人先生 染付大吉羊鉢・此中清鉢・木の葉平向「魯山人と古美術」より

「ありそうでないもの」
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本日、ご紹介させていただくのはありそうでない三作品です。
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魯山人先生は大正14年に便利堂の中村竹四郎と永田町にある日枝神社の境内の星岡茶寮を借り受けて会員制の料理屋を始める。料理顧問として厳選した食材選びから料理を追求し、仲居たちの細かなサービスや着物に至るまで徹底とした教育を施した。財界を始め多くのお客様に愛され一世を風靡したが、一方で奔放な経営と公私を混合した金銭感覚から昭和11年には中村竹四郎より一方的に追放されてしまった。
 その後の魯山人先生の窮地を救ったのは利根ボーリング、安田火災やわかもとなどの支援者であった。彼らは大量に魯山人先生の陶器を注文した。特にわかもとの長尾欽也・よね夫妻はわかもと奥様券を発行し、その販売の成績に合わせて様々な魯山人先生の陶器を渡した。この作品はその頃のものである。「大吉羊」と書かれた丸鉢は大量に作られたのであるが、この「大吉羊鉢」は沓鉢である。意図的に曲げられたかどうかわからないが失敗作でなく、作者の直筆の共箱に納められている。魯山人先生ゆかりの方の旧蔵品で、類品はほとんどないと思われる。


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一方、こちらの鉢は「大吉羊」でなく「此中清」と籠字で書かれていてとても珍しい。この鉢の中に入っているものは澱みなく「清い」という意味である。籠字は最初に輪郭を書いてから太い筆で書いているのであるが、この勢いとバランスが魯山人先生自家薬籠中の物である。

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木ノ葉平向付は昭和10年代に大量に作られた意匠がほとんであるがこれは晩年の作品で数が少ない。前作よりも厚作りで彫刻的に裏部が削られているのが特徴である。サインは「ロ」である。

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